昨年の振り返りと今年の計画

明けましておめでとうございます。片倉/神原です。

三が日はのんべんだらりと過ごすつもりだったんですが、よく考えたら四日から仕事始めなんですよね。
仕事が始まったら振り返りも計画もあったものではないので今日のうちに記録しておこうと思います。

あと、すげーいまさら気付いたんですけど、はてなブログって標準的なマークダウン記法が使えるんですね。
この記事はマークダウン記法で下書きを書いています。

とりあえずまとめ

  • 昨年の振り返り

    • 人間として色々とアカンかった
    • 少しずつ仕事ができるようになった
    • 小説を一本書けた
    • 趣味を手に入れた
  • 今年の計画

    • 体調を戻して稼ぐ
    • 遊星ジャーナルの続編を書く(15,000字~20,000字を予定)
    • 短編 SF 小説集を単著刊行する(30,000字 + 50,000字を予定)
    • ドールズフロントラインのスオミ本を書く(60,000字を予定)
    • pixiv FANBOX を開設する
    • 趣味をやり続ける

昨年の振り返り

ざっくり言うと

  • 人間として色々とアカンかった
  • 少しずつ仕事ができるようになった
  • 小説を一本書けた
  • 趣味を手に入れた

ってな具合でした。それぞれ見ていきます。

人間として色々とアカンかった

別に不義理を働いたとかそういうわけではありませんが、まあダメの一言でした。
数年ほど患っていた不眠症がいよいよ悪化しまして、昨年二月から実家で静養する運びになりました。
そこそこ強い睡眠薬を飲んでも三日三晩眠れなかったので、まあダメです。

あまり理解されないことですが「毎日眠れない・眠りづらい」というのはかなり危険な状態です。
拷問として「眠らせない」という手段がとても効果的、といえばお分かりいただけるかもしれません。
また、睡眠時間が六時間以下の人は、徹夜した人と同程度のパフォーマンスしか発揮できません。

出典: www.gizmodo.jp

原著論文: www.ncbi.nlm.nih.gov

あるいは、あの屈強な米陸軍の兵隊さんも、七十二時間行動したら軍事的に「行動不能」と見なされるとかなんとか。こっちは嘘か本当か知りませんが。

既にうつで苦しんでいる知人から「睡眠障害はうつに繋がる」と聞き知っていたので、やむなく休職して療養に努めました。
休職にあたって、傷病手当金が出たのは幸いでした。
万が一の時には覚えておいてくださいね、傷病手当金
だいたいの健康保険組合には傷病手当金、あると思います。

さておき、そんなわけで上半期はだいたい屍のようになっていました。
目は覚めていてもバイタリティが枯渇しているので本当に何もできない。

幸い、実家の理解があり、関係も良好なので、ひとまず生存することは許されている感じです。

少しずつ仕事ができるようになった

半年ほどかけて徐々に復調してきたので、上半期の終わり頃から前職の会社よりWEB記事の作成を請け負うようになりました。
色々なものを書いていた関係上、テクニカルライティングとクリエイティブライティング、どちらもそれなりにこなせるので、何とかやっていけています。
まだアルバイト程度の収入ですが、単価はそこそこ高いので復調に合わせて仕事量を増やしていければと思っています。
せめて食い扶持くらいは稼ぎたいですね(現状、寝床と食事を提供して貰っているため)。

あと、たまに父の仕事を手伝っています。お給金も出ます。
学生の頃から長期休暇のたびに手伝いをやっていたので、仕事の段取りやら何やらは知悉しており、自分で言うのも何ですが重宝されています。
建設現場などに出入りできますし、現場の人々と違う世界のお話しができるので、わりと楽しいです。

小説を一本書けた

SF雑誌『オルタニア』 vol.7 『後継種』に短編 SF 小説を寄稿しました。
あと編集長もやりました。

bccks.jp

「Nが2になった日」という、ヒトが滅んだのちにヒトの特徴を受け継いだ、とある種族(三体きり)の話を書いています。
後述しますが、これに二本の短編を追加し、夏頃に単著刊行しようと考えています。

実を言うと、2017年の11月に「遊星ジャーナル 海賊版」を完成させられず、以来、小説を書くことが怖くなっていました。
小説を書き始めてからもう15年ほど経つんですが、それまでは自分で決めた〆切を破ったことが一度もありませんでした。
なので
「ああ、自分は自分で決めた〆切さえ守れなくなったのか」
と、ひどく落胆しました。
自分は小説が書けなくなったのだな、と本気で思いました。
物語を紡ぐなら小説が最適解であると考えていたけれど、それができないなら、僕はどうやって物語を紡げばいいのだろう、と、途方に暮れました。

友人に言わせると「自分で決めた〆切を守り続けたことの方が異常」とのことでしたが、僕にとっては「そんなことは当たり前だ」という感じでして。

でもまあ、書けました。どえらく苦労しましたが。
書けたからいいんです。
終わるまでは終わりません。

趣味を手に入れた

実は、僕は趣味を持っていませんでした。
小説、学術書、ゲーム、漫画、映画、その他もろもろは全て、自分が書く物語の糧とするべきものでした。
もちろん楽しんではいるのですが、一方で「何が面白いのだろう?」「自分ならどう生かすだろう?」と常に分析する癖が付いており、とうてい趣味とは呼べない楽しみ方でした。

去年の……三月末だったでしょうか。
アニメーターをやっていた旧友から「絵でも描いたらどうだね」と言われ、新調したノート PC がお絵かきにもそこそこ使えるということもあり、ちまちま絵を描くようになりました。
当時は他にできることもありませんでした。

描き始めたら、これが楽しくなってしまいました。
なにせ物語に生かそうと考える必要が無い。
もちろん絵から読み取れる物語というものもあるんですが、あえて考えないようにしています。
黙々と何かをこなしていく、作業療法な感じがあり、良いです。

絵を描き始めるにあたって決めたことがあります。

  • 意識は低く保つ
  • ツールを使って手を抜く
  • 描きたいものを描く
  • 描きたいときに描く
  • 絵では他人と交流しない

要するに、あくまで趣味なので、向上心を持たないことに決めました。下手に向上心を持つと、理想とのギャップで辛くなりますからね。
他人と交流しない、というのは、他人からの評価を気しない、という意味です。これも評価を気にすると絵を描くことが目的ではなくなってしまうので、やらないことにしました。

もしネットのどこかで絵を描いている僕を見つけても知らない顔をしておいてください。お願いします。

今年の計画

ざっくり言うと

  • 体調を戻して稼ぐ
  • 遊星ジャーナルの続編を書く(15,000字~20,000字を予定)
  • 短編 SF 小説集を単著刊行する(30,000字 + 50,000字を予定)
  • ドールズフロントラインのスオミ本を書く(60,000字を予定)
  • pixiv FANBOX を開設する
  • 趣味をやり続ける

といった感じになります。
いきなり規模がでかくなったが大丈夫か。

体調を戻して稼ぐ

体調は万全には程遠く、良くて五割ほど回復、といった感じです。
まずはそれなりに稼いで食っていけるようにならねば。
やっていきましょう。
以上です。

遊星ジャーナルの続編を書く

代表作だし、ライフワークなので、そろそろ続編を書かなければ。

遊星ジャーナルの続編は今年の二月頃に脱稿することを目指しています。
もう二ヶ月無いのでは?大丈夫か?
刊行は三月~四月でしょうか。表紙をお願いしているデザイナーさんのスケジュール次第でもあるので、脱稿から刊行までちょっと時間がかかります。

遊星ジャーナル、読者の方々には頭を空っぽにしてケラケラ笑いながら読んでいただきたいのですが、書く方はぶっちゃけめちゃくちゃ頭を使います。
これが結構な重荷でして、昨年は遊星ジャーナルを書くために必要な諸々が欠落していました。

遊星ジャーナルでは嘘をついているところは嘘を突き通しており、嘘ではないところについては可能な限り先端の科学知識に基づいて書いています。

例えば、第一話の「大いに偉大なる重力の遊星」では中性子星の質量を太陽質量と同程度と仮定したうえでダイソン球の大きさを算定し、わざわざ重力波の伝達速度(=光速度)が到達する時間を算定したりしていました。
ちなみにこの計算が役に立ったのは「一分と十秒ちょっとが経った」の「十秒ちょっと」の描写です。

また、「中性子星同士が衝突したら金とかウランとかの重元素が放出される」という台詞がありますが、これは2014年に理化学研究所がコンピュータシミュレーションで算出した結果に由来するものです。
理研のシミュレーション結果が観測によって実証されたのは2017年10月のことでした
遊星ジャーナルの第一話が発表されたのは2017年6月8日ですから、辛うじてフィクションが現実の科学に先んじた形となります。
現実こわい。追いついてくる。 SF の宿命ではあるのですが、こわい。
追いつかれないためには想像力を駆使することになるのですが、眠れないと想像とか創造とかが無理になります。

もうひとつキツいこととして、遊星ジャーナルのコンセプトである「世の中のあらゆることをコケにする」というやつは、著者自身をもコケにするということでして、ともすれば虚無主義に陥りがちなのでバランスが難しいんですね。
皮肉が過ぎると虚無になります。
遊星ジャーナルのインスパイア元、というかパクり元であるところの「銀河ヒッチハイク・ガイド」にも悲壮な結末で終わる巻があったりします。
著者のダグラス・アダムスも例に漏れなかったのでしょうか。わからない。僕は彼に会ったことがないので。

遊星ジャーナルの根底には
缶コーヒーのBOSSのキャッチコピーである
「このろくでもない、素晴らしき世界」
に通じるところがあります。勝手にそう思っています。
ろくでもない素晴らしき世界を描くためには、心が元気でないといけません。

一年の休養を経て元気を取り戻してきたので、今年はちょっと頑張ります。

後継種の短編 SF 小説集を単著刊行する

これは今年の夏、だいたい八月末の脱稿を予定しています。
遊星ジャーナルの続編を書き終えたら取りかかります。

企画書の作成も含めて合計で70,000字を六ヶ月弱で書く計算だが大丈夫か?
いやまあ五ヶ月で200,000字を書いたこともあるからいけるか?
何だよそのマルス算は。何をやったらそれができたんだ。

閑話休題

SF雑誌『オルタニア』 vol.7 『後継種』 にて僕が用意した『後継種』というテーマは、元々は僕が個人的なプロジェクトとして企画を進めていたものでした。

これから SF という枠組みで「真面目」に物語を記述するなら、何を書くべきなのだろう。
何かを書くとして、なぜそれを書くべきなのだろう、と思案を続けた末に、行き着いた答えでした。

人類という種が滅ぶ未来を必定と見据え、次に来たる種の在り様を描き、滅んだでもなお残る何かをもって、現在とこれからの人類を肯定しよう、とか何とか。
ひねくれた形の人間賛歌ですが、そんな形でもないと僕はヒトという種を特別視できませんし、信頼もできないので。

物語の種は既に存在するので、あとは登場人物と舞台設定を詰めて、色々と初期値を与えてシミュレーションを繰り返すだけです。
まあ一番大変なのがシミュレーションなんですけど……

今後、ライフワークとして遊星ジャーナルと後継種の二本を柱にやっていこうと思っています。

ドールズフロントラインのスオミ本を書く

意外なことに「いわゆる AI」と「ヒト」の本質的な違いについて誰も言及していないのですが、遊星ジャーナルおよび後継種をしばらくのライフワークにすると決めた以上、「いわゆる AI」をテーマに書くことが難しくなりました。

『後継種』は「いわゆる AI」をとっくに通り越しており「ヒト」との違いなんてどうでもいいので。むしろヒトより優れている公算が高いので。
遊星ジャーナルはそんなことは知ったこっちゃないので。AIとヒトの違いより大事なことは可愛い少女とイケナイことができるかどうか、猫をいかに愛でるかどうかなので。

と思っていたら、ドールズフロントラインという凄く「分かっている」ゲームがあり、どうにもこのストーリーを書いている方は「いわゆるAI」と「ヒト」の本質的な違いに気付いている節があると気付きました。
僕の考える「違い」とは表面的には違うのかもしれませんが、本質的には同じ所に行き着いているという確信があります。

ならば、最適な題材とテーマがあるので、書いてみるか、という感じです。
本来ならオリジナルで書くべきスケールのテーマなんですが、別件(遊星ジャーナルと後継種)にかかりきりになる予定なので……

いまは思いついたことを企画書につらつらと書いています。
スオミ KP/-31 と100式短機関銃が主軸になる60,000字くらいのお話を考えています。

今年の冬コミ(C97)に申し込みたいのですが、諸事情(主に金銭面)で厳しいかなという感じがあり、いっそ pixiv で全部無料公開してしまってもいいかな、と思っています。
印刷費や交通費等を準備できないなら、いっそ無料公開しちゃえばいいじゃない、みたいな。
キャッシュで5000兆円欲しい。

pixiv FANBOX を開設する

これは見通しが付いたらやっていこうという感じです。
僕のキャッシュが5000兆円あれば不要な試みです。

『遊星ジャーナル』および『後継種』の二本柱で物語を書いていくことを、当面のライフワークにしていこうと決めました。

書き続けようと決意を新たにしたはいいものの、決意なんてものは焼きたてのビスケットであるということは、自他の膨大な例からも明らかです。
要するに、熱くて甘くて美味しいけど、ちょっとしたことですぐ割れる。

pixiv FANBOX の開設は、決意を仕組みに落とし込んで書き続けられるようにすることが目的です。
とはいえ最初から飛ばしすぎると挫折することは目に見えているので、以下のようなスタイルで。

  • 使い途を明記する(なんとなく考えている案)

    • 100円:創作に必要な定額サービスへの充当
      ATOK Passport とか GitHub とかがボディブローみたいにジワジワ効くため。
    • 200円:コーヒー代
      原稿を書くときはドトールが住み家になり、コーヒー代が馬鹿にならないため。
    • 500円:資料代(ライト)
      同額のアメリカンスピリット(ライト)を一箱我慢する。紙の書籍を作ったら送付する。
    • 1,000円:資料代(ハード)
      このプランを選ぶ人がいるとは思えないけど。制作途中の原稿を読んだり、 GitHub のプライベートリポジトリに参加して意見を言ったりできる。紙の書籍を作ったら送付する。何かオマケも付ける。
    • いずれにせよ、眠っている口座を起こして別建てにして管理する。余ったら PC などが壊れたときに備えて貯蓄する。
  • 最低でも週に一度は進捗を報告する(アクション)
    進捗として必ずしも原稿を書く必要は無い。
    資料を読んだら資料のメモを共有し、小説を読んだら小説の感想や分析を書く。

  • 科学エッセイみたいなものを書く(アクション)
    アシモフを気取るわけではないけれど、せっかく溜め込んだのだから、科学の知識を毎回面白く紹介する。
    規模は2,000字程度。あまり長くしない。
    自然科学について父と話す機会が多く、このやりとりが存外に面白いように思えるので、対話の内容を紹介する。

とまあ、ここまでは悪くなさそうなのですが。

実は pixiv FANBOX の開設にあたってちょっと困ることがひとつあり、どうしたものかと模索しています。
何かというと、支援者へのリターンを設けづらい、ということです。

今後、僕が電子書籍を発行する際は読み放題サービスである Kindle Unlimited に登録する予定でいます。
現状、 Kindle Unlimited 以外の電子書籍配信サービスでは採算が取れないため、事実上、選択肢がありません。
Kindle Unlimited に著書を登録する要件はいくつかあるのですが、その中でも「電子書籍Kindle ストアにて独占販売する」という要件が厳しそうです。
発行した電子書籍を支援者へのリターンとする場合、上述の要件に抵触する可能性が高いと見ています。

紙の本については制約がないので、支援者へのリターンとして紙の本をお届けする、という形が落としどころになるでしょうか。
でも小説本を作るの、結構な額になるんですよね。どうしよう。
このあたりは 既に pixiv FANBOX を開設している人に聞いてみたりと色々と検討して、納得いただけそうなプランができたら開設します。

趣味をやり続ける

お絵かきは続けていきましょう。
何かの間違いで上手になってしまったら、自分の小説に自分で挿絵を載っけるのもいいかもですね。
何かの間違いだったとしても、十年くらいはかかると思いますが。

改めてまとめ

  • 昨年の振り返り

    • 人間として色々とアカンかった
    • 少しずつ仕事ができるようになった
    • 小説を一本書けた
    • 趣味を手に入れた
  • 今年の計画

    • 体調を戻して稼ぐ
    • 遊星ジャーナルの続編を書く(15,000字~20,000字を予定)
    • 短編 SF 小説集を単著刊行する(30,000字 + 50,000字を予定)
    • ドールズフロントラインのスオミ本を書く(60,000字を予定)
    • pixiv FANBOX を開設する
    • 趣味をやり続ける

以上です。やっていきましょう。

今年は去年よりはアクティブになります。
片倉/神原と、青聿書房をよろしくどうぞ。

©青聿書房 Aofude Shobo