同人小説は Kindle アプリで読もう
◆はじめに
同人小説は書く方も読む方も楽しいものです。
ですが、同人小説は以下のような点で読者が困難に直面します。
- 平均的に厚いので本棚を圧迫する(100Pとかが普通の世界です)。
- 頒布価格が高額になりがち(そりゃ厚ければそうなるんですが)。
- サークルによって判型がばらばらでブックカバーをかけづらい
(同じページ数でも文庫版よりB6版・A5版の方が安くなる不思議)。 - いわゆるレンガ本やA5版だと取り回しが大変。
というわけで、
同人作家の方々は是非とも電子書籍版(以下電書と呼称)を用意しましょう。
物理書籍にはDL用のQRコードなりURLなりを付けておきましょう。
そして読者の方々は、その時々の気分で
物理書籍 or 電書の好きな方で読みましょう。
◆なぜKindleを推すのか?
Kindleアプリだと
スマホで読みやすいというのがものすごいメリットだからです。
というのも、Kindleアプリの設定に「音量ボタンでページ送りをする」
という項目があります。
※追記:OSがAndroidのスマホにのみ存在し、iOSには存在しないそうです…
これ、地味で見逃されやすいんですが、もんのすごく便利です。
つまり、画面をスワイプする必要すらなく、最小限の指の動きで小説が読めるんです。
体感してみると分かります。指が全く疲れません。超楽です。極楽です。
とりあえず、今すぐ手持ちのスマホにKindleアプリを入れて、
適当な無料本を突っ込んで体験してみてください。
つまり、電書(Kindle形式)にすることで上記に挙げた課題のうち、
少なくとも3つを解決できます。
つまり
- 本棚を圧迫しない。
- 判型がどれも同じになる(スマホの形に収まる)。
- 取り回しが楽。
また、出版コストも低いので頒価を抑えられる可能性もあります
(発行者の裁量次第ですが)。
つまり上記に挙げた課題を全部解決できます。
※僕は amazon の回し者ではありませーん。
つーか回し者になれるならなりたいでーす。仕事くださーい。
◆で、どうやってKindleで同人誌を読むの?
Kindleパーソナルドキュメント・サービスを使います。
.mobiファイルをE-mailに添付して、
端末ごとに割り振られたメールアドレスに送るだけです。
Kindleパーソナルドキュメント・サービスでは5GBの容量が提供されており、
小説ならなんぼ放り込んでも困りません(たぶん)
◆Kindleで読むときのデメリットは?
アプリを入れるのがそもそも面倒
凝った組版で読むことができない、という点に尽きます。
例えばフォント芸とかがやりづらいです(ほぼ不可能?)。
ページ飾り等は試したことがないので分かりませんが、
基本的には無機質な文章の羅列と考えて良いかと思います。
というわけで、組版の妙を捨てて携帯性・可読性を取る、
ということになります。
といっても、挿絵程度なら簡単に入れられますので、
最低限「同人小説」としての要件は満たせます。
※リフローではなく固定形式なら組版も再現できますが、
そうすると電書にするメリットが減ります。
これより以下、同人作家さん向けの話になります。
◆そもそもPDFとかEPUBじゃダメなの?
ダメではないです。
ですが、PDFだとデバイスによって可読性に大きな差が生じます。
単純に、小さい画面だとPDFは読みづらいことこの上ないです。
(タブレット用、PC用、スマホ用、と分ける作家さんもいますが)
また、リーダによっては右綴じを認識しなかったり、
そもそもPDFの設定で右綴じにするのが面倒だったりします。
電子書籍の汎用的なファイル形式としてEPUBがありますが、
縦書きに対応しているリーダが少なく、
またリーダによって表示が微妙に異なったりします。
特に挿絵の置き方等で顕著です。
挿絵を置いたページの次のページが空白になっていたり、
挿絵がページとページにまたがって表示されてしまったり……
(僕自身、EPUBを作成する際の挿絵については色々と頭を抱えました)
その点、Kindle or Kindleアプリに突っ込む「.mobi」ファイルなら
(リフロー形式なら)どのデバイスでも表示に差異はありませんし、
(リフロー形式なら)そのデバイスで最も読みやすい表示にしてくれます。
好みで文字サイズを変更することもできます
(これはリーダによってはEPUBでも可能ですが)。
挿絵についても、確認している限りでは変な配置にはなりません。
◆ .mobiってどうやって作るの?
一番手近(簡単とは言っていない)なのは Kindle Previewer を使って
各種ドキュメントファイルを変換することです。
ですが……
ぶっちゃけ面倒です。
Kindle Previewerの解説には
HTML、XHTML、XML(OPF/IDPF フォーマット)、または ePub ソースを Kindle本に変換したい方に最適なツールです。
とありますが、そんな形式で小説を書く人、まずいません(いたらすみません)。
各種テキストエディタで作成したファイル(.txtとか.docxとか)を
EPUBに変換してくれるサービスもありますが、
二度手間感がハンパないです。
◆じゃあどうすんだよ(憤怒)
ジャストシステム提供の「一太郎2014」以降を使いましょう。
僕はPDF、EPUB、KPUB、MOBIの四種類のファイルを
すべて一太郎2014で作っています。
特に、 .mobiを直接出力できるのが強みです
(厳密にはEPUB経由ですが自動でやってくれます)。
ルビ振って、見出し(目次は自動生成)を付けて、挿絵を入れて、表紙を指定すれば、
ものの数十秒で.mobiを吐いてくれます。
あとはKindleパーソナル・ドキュメントサービスにブン投げて
端末で確認すればいいだけです。
手間が少なくていい。
◆電書発行のためだけに一太郎買うのはちょっと……
ですよね。
なので、神原傘(つまり僕)が代行します。
ジャンルも問いません。
商業流通していない同人小説に限り、
お声かけいただければEPUBと.mobiを発行してご提供します。
金銭報酬は頂きません。
その代わりその原稿読ませてください(ひでえ)。
(※確認作業やルビの振り直し等で原稿を読まざるを得ない、というのが本当のところ)
なお、電書発行の代行につきましては、
こちらの体制を整えてから再度告知します。
トラブルの芽は思いつくだけでいっぱいありますので……
申込殺到!行列ができる電書発行代行!
とかになったらちょっと待って困りますお客様あー困りますお客様ああーー
ってなるかもしれませんが(ないと思いますが)、そのときはそのときで考えます。
なお、一太郎は日本語用ワードプロセッサとして超有能なので
買っても損はしないと思いますよ。 ATOKもついてくるし。
最後に
この記事は紙媒体での同人誌頒布を否定するものではありません。
事実、僕も紙媒体で同人誌を頒布しています。
現物が存在する、というのは紛れもない付加価値であり、
また紙媒体は喪失の可能性が低い耐久メディアでもあります。
ただ、紙媒体で頒布していて「不便だな」と思っていたことが、
電書なら解決できる可能性があるよ、という主旨の記事です。
そしてどんどん普及して欲しいから代行しちゃうよ、という話です。
(電書ならコスト低いし)
願わくは、同人小説界隈が一層の盛り上がりを見せんことを。