『督戦の龍驤』四方山話

C92および砲雷撃戦、お疲れ様でした。
ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
先日の売上を銀行に突っこむことを忘れてやっちまったという顔をしているところです。神原です。
翌日即入金は基本です。

 

タイトルの通り『督戦の龍驤』に関する四方山話でもと思いまして、軽率に筆を執りました。
気軽に読み流してください。

 

但し甚大なネタバレがあるので未読の人は読んでから推奨な!

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それでは四方山話にお付き合いください。

 

龍驤のモデル

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『言い訳をしない』ニコラス・D・ウルフウッドです。
要するにヴァッシュ・ザ・スタンピードとウルフウッドのいいとこ取りです。

挿絵のキタユキさんに「両儀式じゃないの!?」と驚かれましたが、
むしろ両儀式だと思われていたことの方が驚きでした。

 

さておきモデルは存在しますが、
基本的には原作に忠実な龍驤です。

 

「は???」

と思われた読者のために補足。

 

原作の龍驤の特徴として
・頑張り屋
・健気
正規空母を意識している

 

さて振り返ってみましょう。

 

督戦飛行隊の龍驤四四号の特徴です
・毎日訓練と銃の整備を欠かさない(頑張り屋)
・なんだかんだ文句を言いつつ信じた叢雲の命令に従っている(健気)
・自分にできることを突き詰めた結果、艦載機の大量運用法を編み出した(正規空母を意識)

 

はい、要するに龍驤オルタです(オルタナティヴの意味は反転ではないよ)。

龍驤が色々とひどい目に遭いながらも本質を失わなかったらこういう子になるよね、と想定して書いていました。

 

 

叢雲のモデル

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D機関というアニメに登場する結城です。
いざという時に敵の意表を突くため、長年に渡って身体の障害を偽装し続けています。

また、思想としてはスワロウテイルシリーズの揚羽に共通している箇所があります。
「人類と艦娘の相互不和はこれを未然に防ぐため」
というやつです。

叢雲は、遠くない未来に人類と艦娘は相互不和を起こし、艦娘は穏やかな手段により無自覚のまま人類を絶滅に追い込むであろう、と予測しました。
残されるのは創造主を失ったヒューマノイドの嘆きだけである、と。

ゆえに彼女は情報部を組織して全国に遍く存在する鎮守府の内偵を進め、
「人類と艦娘の相互不和を生む」要因を切除すべく、
督戦を組織して粛清任務へと乗りだします。
下巻のカバー折り込みに『MURAKUMO THE EXECUTOR』とあるのはそのためです。

 

時間軸とか

作中において、時間軸は2014年11月時点を基準とし、現実世界の一ヶ月を作中世界の一年としています。

詳細についてはこちらをご覧下さい

ヒトは1990年代において、己の似姿を創造できるほどの技術水準に達していませんでした。おおよそ200年から300年もの技術的な飛躍を遂げたのは、妖精さんによる技術供与があったためです。

一方、戦時中であるため、人類と艦娘との相互理解は全く進んでいません。
仮に深海棲艦との戦争が終わったとき、人類と艦娘は共に生きる道を模索しなければなりません。

共生の解として叢雲が導出したのは『ヒトを艦娘と化した改造艦の殲滅』でした。

『改造艦』は『憎悪』という有害な感情を宿した出来損ないの存在です。
『改造艦』はもはや必要とされておらず、この世から消えねばならない存在である、と叢雲は結論しました。
それは最初の五隻である叢雲、そして龍驤でさえも例外ではありません。
龍驤は『この世の理不尽』を憎み、
叢雲は『必要とされていない』ことを憎んでいます。

 

本編中にて龍驤は叢雲の思想を全力で否定するわけですが。

 

信濃について

ま た 信 濃 か

まいのわ嵐を読んだ方はご存じですね。
ええ、また信濃です。
実在し、有名であるにも関わらず実装されていない大和型の三番艦。

理由を考慮するに、
『大和や武蔵の同型艦であるため建造方法は確立されているが、先の大戦における戦闘経験が皆無であり、艦娘としての自我を宿すに至らない』
ために通常の運用が不可能である、という妄想をしています。
実装されたらごめんネ!

 

前作:『まいのわ嵐』との繋がり

簡単に言うと時間軸を共有しています。

具体的には第五話『TERRITORY』にて相生洋一大将の麾下にある神通が出撃し、龍驤に処断されます。
これにより相生は神通の棺桶となります。

相生は直前に解任されたために咎めを受けず、その後は軍人恩給を食みながらアルコールとニコチン漬けのやさぐれた生活を送ります。

数年後、『まいのわ嵐』における舞風が『艦娘派遣業法』の従事者として退役軍人を選ぶ際、アイウエオ順の名簿の一番最初に並んでいた相生を見定めます。

 

モデルとさせて頂いた鎮守府や二次創作

本作では余所様の鎮守府や二次創作をモデルとして描いているものが多々あります。
以下、そのリストです。この場を借りて感謝&土下座。すみませんでした。
あくまでモデルであって、そのものではありません。
多数の鎮守府を描く関係上、個人で思いつくには限界がありました。

 

影響を受けた主な創作物

  • トライガンシリーズ
    龍驤の思想の根幹を成しています。
  • ブラックロッドシリーズ
    基本的にオカルト描写はブラックロッドに依拠しています。
  • 攻殻機動隊
    情報技術はこのあたりが基準となっています。
  • スワロウテイルシリーズ
    ヒトとは何か、艦娘(ヒューマノイド)とは何か、ということを考える際の道標となっています。アシモフの系譜です。
  • 必殺仕事人
    『督戦の龍驤』は元々、「ダークな水戸黄門を書くぞー」程度のノリで書き始めました。
    明るく馬鹿馬鹿しい話(遊星ジャーナル)を書いていたら脳が闘争を欲したので…
    ですが下手に欲をかいて伏線を張って陰謀を巡らせた結果、
    最終話にて叢雲の心を折ることができず
    「助けて!叢雲が強すぎるの!!」
    と編集担当に泣きつく事態に…
    プロットを立てるときは計画的に。
  • Hotline Miami
    Steamで販売されているインディーゲームです。
    暴力!暴力!暴力!な2Dゲームです。殺すのは難しく、手軽に死ねます。是非。
    龍驤の決め台詞である「キミ、いまなんどきや、分かるか?」や
    叢雲が龍驤に尋ねた「あなた、他者を傷つけるのは好き?」は
    Hotline Miami の台詞から拝借しています。
  • その他いろいろ
    基本的に調べ物をせずに書いたので、あり合わせの知識とアイデアで構成されています。
    あり合わせの知識とアイデアとは要するに今までインプットしてきたもの全てということです。
    全ての創作者に感謝を。

 

最後に

長く重い話に付き合って頂きありがとうございました。
読んだ方の艦これ観が広がれば幸いです。
艦娘は、人類が初めて出会った知的生命体であること、
そして艦娘はヒトではないということ、
そのことを人それぞれで解釈し、共に生きる道を新たに見いだして頂ければ、筆者として無上の喜びです。

 

 

©青聿書房 Aofude Shobo